2016-02-20

「女性活用」で男社会で利用されそうになったわたくし


年末からいろいろアイタタタな事件がたくさんありまして、2016年初のブログ投稿になってしまった…あ、あけましておめでとうございます!きゃー。

さて、最近日本では、「一億総活躍」とか「女性が輝く社会」とか、まぶしすぎて涙で明日が見えないお題目を掲げた取り組みが絶賛進行中。うざいなーと思いつつ、自分には関係ないと思っていた。活躍はしていないし、輝いてもいないが、ともあれフルタイムで働いて年金納めているし、悩みと言ったらコウノトリがいっこうにやってくる気配がなく、出生率1.8目標にはまったく貢献できなそうな上に、「仕事忙しいから、子供なんて無理だよねえ」みたいな勝手な哀れみを、あんまり自分のことを知らない人に投げかけられるくらいだったからである。

相変わらず無頓着なわたくし。駐在生活も3年が経って、鈍感なわたしでもわかるくらい、日本へ帰らなければいけない雰囲気が漂ってきていた。本社側の人事担当の上司に希望の部署を聞かれたので、今の仕事と連続性がある、本社の仕事をいくつか言っておいた。

1月のある日、その上司から、「春には異動する」と教えられた。どこに行くんですか?と聞いたところ、こんな風に返されたのである。

・まだ決まってないから具体的な場所は教えられない
・でも東京じゃない。地方都市
英語と、ある分野の技術力が必要なポジション
突然言われたわたしは、「ぽかーん」である。10年ちょっと働いて、さすがにいろいろわかっているはずのこの会社で、この条件に当てはまる部署がまったく思い浮かばなかったのである。

さらに、地方都市って。上にも書いたとおり、希望は本社の部署だったわけだが、それは自分のことだけでなく、夫がいるからである。確かに駐在員になって以降、夫はずっとわたしについてきてくれて、フリーで仕事をしているが、地方都市となるとちょっと勝手が違ってくる職種なのだ。というのも、夫のスキルが使える仕事はアメリカではたくさんあるが、日本だとほとんど東京にしかない。

そして一番謎だったのは、結婚しているとわかっているのに、妊娠率低下が叫ばれる微妙なお年頃の女性にひとことも相談せず、勝手に進めていた上司の常識だった。ちなみにこの上司、今まで女性の部下がいたことがないらしい。

こいつはだめだ…、と思ったわたしは、アメリカ人ボスに話し、日本にいる元上司や同僚にがんがんメールを送った。けっこうな情報を集めた結果、わたしは会社の「女性活用」施策のせいでこんな目に遭わされたということがわかってたのだ。顛末はおそらくこんな感じだ。

(1) ある支社が新しい部署を立ち上げようとしている
(2) これは、支社トップの鳴り物入りのグローバルプロジェクト。うまくいったらすごいけど、地雷だと思われている
(3) 自分の手は汚したくないけど、うまく行ったときのために恩を売っておきたいなーと思う人多数
(4) 最近「女性活用しろ」って言われてるから、立ち上げついでにメンバーを女性中心にしよう
(5) プロジェクトリーダーは、英語ができる女の子を引っ張ってきたけど、その人は営業で、技術者じゃない
(6) リーダーを助ける人を探すべく、英語ができる技術者いない?と社内で募集をかけるも、めぼしい人材見つからず(=そんな人は、地雷プロジェクトに行きたくない)
(7) 「支社に異動できる」+「」+「英語」+「技術」な奴いない?と支社トップがえらい人に捜索願い
(8) 「おっ、これは恩を売れそうじゃん」と人質を差し出す奴発見!

もうつっこみどころが満載すぎて、どこからつっこんでいいかわからない。なんか書いててこんなところで働いているのか…と悲しくなってくる。

もちろん、会社の一員としてはこのプロジェクトがうまくいってほしい。だけど、じゃあわたしがこのプロジェクトのために、単身赴任を考えたり、夫を扶養家族にしたいかと言われたら絶対にNOだ。というのも、

ギャンブルの掛け金にされるほど、今の上司に恩義はない
対価がない(別にお給料が上がったり、昇進するわけでもない)
・わたしは技術系だけど、その分野の経験はない
・今の仕事とも連続性がない、これまでの経験が使えない
・単身赴任なんかしたら、ますます妊娠の可能性が下がる
こんな仕打ちを受けて、生まれて初めて、あんまり眠れないし、食欲もないという日が続いた…わけではなかった。というのも、この状況を知った現在のボスや、東京の元上司たちが、いっせいに怒ってくれて、一瞬で支社行きの芽をつぶしてくれたからである。

社内のシステム上に入っているスペックを見て、ひとことも本人と話さずに「アメリカにいる理系女子」というなんとなくの経歴だけで見定めた人たちに対し、ボスたちは、わたしの悩みや考えを聞いてくれて、一緒に仕事をした経験も踏まえて、代わりとなる次のステップを用意してくれたのだった。これについては感動を禁じえない。(でもさすがに初日は、「こんなことする人がいるんだ…」というのに衝撃を受けすぎて、眠れなかったし食べれなかった…) 


…さすがにちょっと詳しく書きすぎた気もして怖いのだが、言いたいことは、

自分の評価のために、「女性活用」を利用するな。

ともあれ、プロジェクトの成功を東京からお祈りしております。