2013-08-24

『(株)貧困大国アメリカ』を読んで反省した日

「なんでベジタリアンじゃないの?」
先日、スペイン人の大学生にそんな質問をされて、その発想はなかった…と思う中、やっと読んだこの本。
 

このシリーズは全部読んでいるけど、読むたびに毎回ぞっとする。今はアメリカに住んでいるので、本の中で紹介されていることがより身近に感じられて無視できない。

何より衝撃を受けたのは食べ物に関する数々の記述。
安全が証明されていない遺伝子組み換え作物、借金のかたに大企業に支配され、原価割れの価格でお肉や卵を出荷する小規模農家…ときて、まあでも、わたしよく使うスーパーはちょっとお高めでオーガニックを前面に出してるホールフーズですし、大丈夫ですよね?と思いきや、2章でぐさりとメスが入れられた。
実はホールフーズの主要商品は、完全な有機農業ではなく「自然派の」通常食品なのだが、普通のスーパーで買うのとは雰囲気がまったく違うため、顧客は喜んで割高価格でも財布を開く。
…あの雰囲気なら大丈夫だと思って、表示もちゃんと見てませんでした…
スーパー大好き、食べ物大好きなわたしはホールフーズの戦略に踊らされていた自分が恥ずかしい。確かにオーガニックにしては安すぎるもんなあ。反省。
政府と業界が作り上げた「オーガニック」の基準は生産効率を上げるために穴だらけ、認証を取るコストは高く小規模農家はどんどん大企業に吸収されていく。大企業は生産から販売まで事業を垂直統合してコストカット、効率化追い求めて産業の工業化が進んで、その中ではこんなことが行われていて…という話が書かれていて、背筋が冷たくなった。
本当の意味でのオーガニックは、地産池消で生産者の顔が見えることが基本ですよね。石油を使って何百キロも離れた場所にあるスーパーマーケットに流通させ、低コストで大量に生産するやり方とは根本的に相容れない。(中略)鶏肉を見たときに、それがどこから来たのか、どうやって育てられたかを考えることは、地産池消という本来のやり方を続ける小規模有機農家を守るだけでなく、私たち自身が他のいのちとのつながりを見失わないためにも、とても大事なことなのです
この有機農家の人の話がぐさりと突き刺さり、影響されやすいわたしはグリーンマーケットへ行ってきた。
グリーンマーケットはすべてがオーガニックとは限らないけど、少なくとも仲介業者はいないし、生産者の人と直接対話ができるし、地産池消である。

土曜日はお店も多いし、にぎわっている。

いろんな種類のトマト。おもしろいーー。

えー、キジとかウサギは買ってないけど、このお店でチキンを買った。

白いナス初めて見た。買わなかったけど。味も違うのだろうか。

冒頭の「なんでベジタリアンじゃないの?」という質問に対して、
「小さいころからの食生活の中で当たり前のようにお肉を食べてたから欠かせないものになっている。たんぱく質の補給のためにも必要だと思っている」
と答えたんだけど、食べるからにはちょっと高くても誠実な生産者から買って、彼らの事業を支えることくらいはしてもいいだろう。いや、そうするべきなのかもしれないな。収入と支出のバランスは難しいけれど。

この本はやや煽りすぎかなーという部分もなきにしもあらずだけど、取材をした人が考えていることは事実だろうし、とにかく色々と自分の生活を考えさせられる1冊だった。

そういえば最近こんなニュースを見たことを思い出した。

イオン、全国で大型農場 PB野菜販売1000億円に(日経)

日本でも確実に産業の垂直統合は広まっているし、日本政府は農地集約を推進しているのか。
安易な言葉ではあるけれど、政府や企業のこういう動きに対して「食の安全」を確保するためには、消費者が自分のお金をどういうものに使うかという行動で意見を示していくことが大切なのだろう。

物の価格には理由がある。安いものにはそれなりのからくりがあるし、「高いものはいいもの」という思い込みを利用して不当に高く売っているものもある。さらになんでも怖がるのはばかばかしいし、かと言って無頓着すぎるのもよくない。試行錯誤しながら自分の判断基準を磨いていきたいと思う。
今のところ、わたしの判断基準というか努力目標はこんなかんじである。

  • 安いものには理由があるので、安くないものと原料とか産地を比べる
  • 高いという理由だけで買わない
  • よくわからないものは適度に怖がる
  • お肉類は成長促進剤や多量の抗生物質を与えられたものをなるべく避けられるように、可能であればオーガニックにする
  • グリーンマーケットを活用する

グリーンマーケットで買ったチキンで作ったカレーはおいしい気がした。

2013-08-17

東京は愛せど余裕がない

「子供ができてから、仕事をがつがつやろうっていう気持ちがなくなって、何より子供を大事にしなきゃっていう気持ちになった」
先日日本で会った2ヶ月後に出産を控えた友人の言葉である。
以前は円形脱毛症になっちゃうくらいがんばって仕事をしていた彼女である。がつがつ仕事をしているときは男性ホルモンが出まくってたんだろうなーと笑いながら出っ張ってきたおなかをさすっている姿はほほえましかった。

そんな妊娠8ヶ月の女性ホルモンでまくりの彼女であるが、この期に及んで、夜の11時まで残業する日があるそうだ。

別の友達の話。彼女の夫はちょっと前に転職して激務だという話は聞いていたのだけど、最近は会社に泊まりこんで仕事をさせられる上に、休日出勤もちらほら出てきたらしい。

元同僚や友達もかなり遅くまで仕事をしている。友達のひとりは事務職の派遣社員なのにこれまた夜の11時くらいまで仕事をしているのだが、旦那さんも同じくらいまで残業をしているそうである。

ああ、そうだ。わたし、こういう日本の
「けじめけじめ言うくせに、労働時間についてはけじめがなくてだらしない」
みたいな矛盾が嫌いで、別の国で働きたいと思ってアメリカに来ることにしたんだったなあ、ということを思い出した。その結果がどうだったかはとりあえず今のところ置いておいて。

みんななんでそんなに仕事があるんだろう…と思いつつ、東京の快適な街を眺めてみる。

時間ぴったりに来る電車、
安全が保たれている繁華街、
どこでもつながる携帯電話、
魅力的できれいに印刷された本、
おもしろくて目につく広告、
ごみひとつ落ちていない道路、
商品がきれいに陳列されたお店、
おいしいごはん、
コンビニに並ぶ無数の新製品、
予定通りに進むすべてのものごと、
マニュアルを人間にしたような効率的な店員さん・・・

長時間労働が、この快適さや高い品質、幅広い選択肢を提供しているのである。

ニューヨーク、というかマンハッタンも労働者の使い方は同じようなところがあるような気がする。アパレルのお店が朝8時から開いているし、お店に入ると店員さんがやたら多いところがある。レストランにはデリバリー専門の人がいる。たいていのお店は定休日がない。
それに対して、ヨーロッパはそこまで労働者ががんばらない気がする。夜はそんなに遅くまでお店が開いていないし、定休日があるお店も多い。ほら、また、「欧米」でくくっちゃいけないということがわかるでしょう!(過去記事)

日米の労働時間を見てみると、なかなかいい勝負をしている。

年間実働時間の国際比較(社会実情データ図録)

青い線を見ると、「おっ、日本人の労働時間が短くなってるじゃん」と思うのだが、記事にも書かれている通り、
OECDデータの日本の値は基本的には厚生労働省の毎月勤労統計調査に準拠した数字が使われている。これは、かつて時短の対外公約の際に公式に使用していた年間労働時間が毎月勤労統計調査に基づくものだったという経緯によるものと考えられる。しかしこの調査は事業所が調査対象であり、企業が賃金支払いのために把握している労働時間(所定内と所定外)が回答されている。そのため、いわゆるサービス残業や個々の労働者の会社外の副業時間は把握されていない。図には、参考のため、世帯を対象とした労働力調査の週間就業時間(残業、副業を含む毎月の月末1週間の実際の労働時間)を年間換算した値を掲載しておいた。
ということで、サービス残業を含むと日本は相変わらず韓国とならんで世界トップクラスの働き蜂である。

色々調べていたら、もっと衝撃的な事実を見つけてしまった。

日本人の労働時間は以前より短くなっているのか?(経済産業研究所)

15ページに、これまで長時間労働になるのは高所得者であったが、2006年では低所得者が長時間労働になっていると!!
これなんだか実感としてわかる気がする。あれこれ指示を出してさっさと帰るおじさんたちに対して、裏で色々準備する若者たち…

以前もちょっと紹介したこの本の通り、東京やニューヨークは消費者天国だけど、労働者地獄なのではないだろうか。
少しくらい不便な方が、労働者には優しい社会なのかもしれない。本書いわく、「顧客の便利は労働者の不便」である。


わたしも含めて、「お客様は神様」とたてまつられた日本の消費者がどこまでの品質低下を許せるかというところが肝である。
生活レベルはそうそう落とせないものだけれど、労働時間を減らすためには、世の中のサービスに優先順位をつけて、何をどこまで満たすかということを取捨選択する必要があるのだろう。
安全な食べ物は当然必要。でも、電車が1分の誤差も許されない必要があるのか?とか、こういう感じにいろんなものがその品質である必要性があるのかを考えて、人間らしい生活を遅れる労働時間と、街やサービスの均衡がとれる場所を見つけていったらどうなのだろうか。

「そんな社会になるには、まず朝の遅刻を許すところからだと思います!」

…と低血圧の持論を述べて終わりにします。

2013-08-11

今、日本の地方都市がアツイ

先日の帰国時には、某地方都市の実家にも帰った。
わたしの実家は東京から新幹線で1時間半、人口約20万人弱の決して大きくはない、でもそこまでさびれていない地方都市である。
「そこまでさびれていない」というのは最近抱いた感想で、実家を出た10年前から4年ほどまではバブル崩壊や中央集権のあおりを受けて、看板は古めかしいし、建築物には錆が浮いているしで、なんとなく元気のない雰囲気を漂わせていた。実家に住んでいたころのわたしは、たまに東京に行って洋服や雑貨を買い物するのに喜びを覚える典型的な田舎の少女だった。その頃は途中にある大宮ですら輝いて見えていたわ…ふふふ…
遠い目はこの辺にして、自分が変わったのか、地元が変わったのか、判別不明なのだが、最近地元が熱い。

遠くからの写真でよく見えないかもしれないが、新幹線の駅を降りたところで、「打ち水大作戦」と銘打って、街の人たちが集まっていた。
バケツとひしゃくが用意されていて、10時くらいにはハッピを来た人たちが駅前で水をまいていた。
地元のTVだろうか、カメラも来ている。こんな取組み、昔はやってなかったよなあ。高齢者の方から、子供まで、みんなで水をまいている姿が微笑ましい。

どうやら最近は観光にも力を入れているようで、こんなものも。

美味だれ…聞いたことない。我が地元で焼き鳥が名物なんて知らなかった…
B級グルメとか騒がれているから、名物で町おこししようとしているのだろうか。おいしそう。次に帰った時に食べてみたい。
そのほかにも、ロケに使われた映画や、有名な戦国武将を前面に押し出した看板がたくさんあって、「ああ、こういうのを目当てに観光客がやってくるのね」というのが推し量れる。いずれにしても昔こういうのなかったよなあ。

まずは、オンラインで予約した駅近くの美容室へ。ホットペッパーが我が地元までカバーしていることにびっくりである。インターネットすごい。
行った美容室のインテリアはきれいだし、店員さんもみんなおしゃれで丁寧。かなり細かく希望を聞いてくれるところもいいし、炭酸泉でのシャンプーもついて4000円ちょっとって破格である。腕も都内で切ってもらっていた美容師さんと比較しても遜色なし。地元にこんなおしゃれで居心地のいい場所があるなんて、昔では考えられなかった。その服どこで買ったんですか?とか聞きたいくらいである。

その後、妹と一緒に巨大ショッピングモールへ。我が地元には10年ほど前に大きなショッピングモールができたのだが、2年前にも2キロほど離れた場所に違うショッピングモールができた。2年前にできた方には行ったことがなかったので行きたかったのである。

我が地元に関する記憶が10年前からほぼ止まっているわたしはそのモールに足を踏み入れて愕然とした。
10年前には田舎では望むべくもなかったスターバックスはもちろんのこと、ロフトやカルディ、トーホーシネマズまでそろっているのである!!
地方都市になかったのは、こういう巨大雑貨屋さんとか、輸入食品屋さんである。それをよーーーーくわかったラインナップと言わざるを得ない。大きな映画館も今までなくて、新作が始まるのは全国公開からちょっと時差があったりした。
あまりに感動したので、ロフトでボールペンの芯を買い、無印で安くなってたカーディガンを買ってしまった。ついでに果物や野菜からジュースを作ってくれるお店で妹とジュースを飲んだ。なんか新宿駅のプラットフォームでジュースを飲んでる人みたいである。

妹が運転する車の中で、興奮冷めやらぬわたしはまくしたてた。
「昔何にもなくて退屈だと思ってたけど、今じゃなんでもあるね。住むのに全然問題ないね」
実家からちょっと離れたさらに小さい街に住んでいる妹も同意する。
「そうなんだよ!いいお店も結構あるし、人も優しいし、温泉も近いし、ほんといいよね!」
夏は暑いけれど、緑が多いし、ビルが少ないので、東京みたいないやな暑さではない。近くの温泉は朝6時(!!)からやっているし、空は澄み渡って空気はきれいだし、食べ物はおいしい。都内で高い家賃を払ってちょっと緑が多い下町に住んでた自分がばかばかしくなる環境の良さである。
試しに都内で住んでいた家と同じような条件の家を探してみたら、家賃は半分以下であった。ニューヨークと比べたら鼻血が出そうな差なので忘れることにした。

ニューヨークから日本に帰ったら、そうだ、実家を改装して、東京には新幹線通勤してみようかなー。ぐふふ…なんて帰りの新幹線の中で果てしない妄想を繰り広げていたので、新宿の紀伊国屋でこんな本を見つけたときにジャケット買いならぬタイトル買いをしたのも必然であった。

地方にこもる若者たち 都会と田舎の間に出現した新しい社会 (朝日新書)(阿部真大)

この中では、倉敷市が例として出てくる。多分、倉敷は我が地元よりも全然大きい都市に見受けられるけれど、昔はただの田舎だった「地元」が、巨大ショッピングモールの登場により魅力的になっている、というのは共通している部分だと思う。
この本ではそこまで言及されていないけれど、田舎出身のわたしとしては、インターネットでなんでも買えるというのも大きい。

こういう環境は商店街を駆逐していく、という論が述べられているけれど、我が地元は東京からの地の利に恵まれているからか、郊外に移転したお店や後継者がいなくて廃業したお店の後に、若い人が始めたおしゃれなカフェやパン屋さん、雑貨屋さんなんかが入ってきてなかなかおもしろい。昔から続いている甘味屋さんの近くに木目調のナチュラルなインテリアの雑貨屋さんやベーグル屋さんが並んでいる姿はなかなか魅力的である。古い映画館では映画ではなくライブを開催するなど、とにかく町中で色々な試みがなされている。おそらく、そういう試みもテナント料が安いから気軽にできるのかもしれない。東京で飲食店開業するには最初にものすごい金額が必要そうだし。

もちろん、飲食店のような物理的な事業でなく、ソフトの事業は政府のディジタルディバイド対策さまさまで、地方の得意とするところである。ちょっと前に読んだこの記事を思い出した。


これからは、こうやって「民」主導で地方の活性化が進むのかもしれないなあ。IT社会バンザイである。

選択肢が多く、なんでも便利なことが魅力の都会での生活に対して、とにかく心身によさそうな地方都市での生活。今の「草食系」で「ゆとり」の若者には後者の方がはやりそうだけど、どうだろうか。

2013-08-10

日本の素晴らしさをニューヨークで叫ぶ

先日、仕事の関係で日本に一時帰国した。
本当に短い期間だったんだけど、半年ちょっとニューヨークに住んでみてから東京(と地方都市の実家)に戻ってみて、ああ、わたしはやっぱり日本が好きだなあと自分の気持ちを再確認したのであった。

【日本のいいところ】
(1)きれいで安全
もう誰がなんと言おうと、これでしょう!これまでに多分25か国くらい行ったことがあるけど、人がちゃんと生活している感じをさせながらも、日本ほどきれいで、夜でも怖くないと思える場所って本当に稀有である。先日も書いたけど(参照)、モントリオールとミュンヘンはけっこういい線いっている。
記憶の中の新宿は全部歌舞伎町のようにくさくて汚い酔っ払いの街だったけど、あれだけ人が多い東口ですらゴミはほとんど落ちていないし、業務ゴミが山のように積まれているなんてこともなく、この面での日本の快適さに感動すら覚えた。ゴミを朝回収してくれるというのは日本のきれいさにかなり貢献していると思う。ニューヨークだと夕方に回収している地域もあって、特に夏は食べ物屋さんの前を通るときは気分が悪くなる。
人種の問題もあるのかもしれないけど、人が集まるところに特有のにおいがなくて、不快なにおい大嫌いなわたしは成田空港に降りたった瞬間から快適そのもの。石鹸とかも変なにおいしないし、無臭の製品多いし、すばらしい…
昔より危なくなったという意見はあるかもしれないけど、遅くまで飲んで、酔っ払い状態でも公共交通機関で何も怖さを覚えずに家に帰れるのってやっぱりすごい。

(2)ごはんおいしい
日本人だからかもしれないけど、野菜とかお魚とか、あっさりしたものが多くてうれしい。味つけもやさしい。ひさびさに食べた青じそドレッシングのおいしさに気絶しそうになった。
いいかニューヨーカー!どうせローファットを好むなら牛乳だけじゃなくて食生活全体のバランスを考えるんだ!と叫びたくなるくらい。(全ニューヨーカーのみなさんすみません)
ということで、日本で食べた感動ごはんの写真を少々。
六本木の『豚組[しゃぶ庵]』さん。ここはしゃぶしゃぶはもちろんのこと、サイドメニューも繊細でおいしい。こちらはいちじくのふろふき。なんて繊細な!いちじくの自然な甘みとお味噌が日本の素晴らしさを8割くらい物語っている。はい大げさです。当然メインのしゃぶしゃぶは安定のおいしさ。一緒に行った友達も喜んでくれて本当によかった。次回帰国時も絶対に行くぞー!

最近観光スポットとして話題の信州は小布施の『竹風堂』でいただいた栗おこわセット。
もちもちしたおこわはもちろん、鮎の甘露煮やら、山菜やら高野豆腐やらお漬物やら…ぎゃああおいしい。お肉やとか海の魚介類を使わなくてもこんなに満足なご飯が食べられるなんてすごいぞ日本の田舎。
ところで上の真ん中にあるすりばちに入ったものは「むかご」の胡麻和え。むかごとは長いも(母談)を収穫するときにいっしょに根についてきた小さなおいもなのだそうだ。味や食感は里芋みたいなかんじでほくほくしている。こういう、「捨てられちゃうところ」を食べる文化に感動するわたし、「もったいない精神」がどこまでも染みついた日本人である。おいしかったーーーー。

こちらは『築地 奈可嶋』でいただいた松前丼。いくら…とびこ…昆布…温泉たまご…!!!とまたもや感動しきりである。
盛り付けは美しいし、味付けは繊細。これが東京のど真ん中で1200円で食べれちゃうってどういうことなの、日本!!ニューヨークで12ドルで食べられるものを考えると気絶しそうになる。

こちらは焼き鳥屋さん、『阿佐ヶ谷バードランド』。焼き鳥は言わずもがなでおいしかったのだけど、このミョウガに白みそを塗って焼いたものは季節を感じられるし、ミョウガひさしぶりだし、お味噌との相性がめちゃくちゃいいしで感動した。こういう繊細かつシンプルな食べ物はやはり日本すばらしい。はあああああ。
そして、阿佐ヶ谷といえばここ。ジェラート屋さんの『SINCERITA』である。アメリカでこれでもかーーー!というようなあまーーーーいジェラートを食べていたので、果物や素材の味がしっかり感じられるこちらのジェラートは、郷愁の念を抱かせるのに十分な威力で…ううう…写真は前から大好きだったお豆腐とアールグレイのジェラートの2種盛り。
はっ、いかん、ごはんの話で盛り上がりすぎた。続きいってみよう。

(3)便利で効率的、いろんなシステムがすごい
東京駅のお手洗いの中に、こんな表示があったのである。
ちょっとわかりづらい構造のお手洗いの空き状況がわかる表示。すごい。そういえばラーメンの『一蘭』もこんな表示があったりするよなあ。

さらに、久々に駅の自動改札を通ってみて、「これものすごい計算をものすごいスピードでさせてるよね」ということに気づいた。ニューヨークの地下鉄はどこまでいっても均一料金2.5ドルだし、郊外に行く電車では電車の中で検札の人が回ってきて、切符をチョキンと切られる。そのおかげで、降車のときの改札はスルーできるわけである。
しかし日本では、どこの駅から乗ったというデータをSuicaが記憶していて、降りるときに自動精算。新幹線とかの長距離電車はまず改札を2段階にすることで無賃乗車をブロック、検札の人はくるけれど、指定席だったら基本的には車掌さんの持っている端末におそらく自動で飛んでくるデータと座っている人を確認することで、声をかけたり切符を切ったりはしない。降りる駅の自動改札が最後の関門になる。

マニュアル化されたコンビニやチェーン店の接客、シンプルすぎるくらいのビジネスホテルと、とにかく便利さや効率性をどこまでも上げていこうとするところはすごい。もちろんオートメーションによって人間の雇用が…という点はあるかもしれないけれど。
そういえば今回、仕事で会った人が「お客様満足が大切なので」ってやたら言っていたのが気になったな。目に見えにくい指標だけど、利益度外視でお客様は神様です!って思っている人は結構いそうである。

--------
ああ、他にもかゆいところに手が届くとか人が優しいとかいろいろあるけれどこの辺にしておこう。一応日本のいやだなーと感じたところも書いておこう。差引いても絶対日本はいいところだけどねえ。

【日本のいやだったところ】
(1)ベンチがない
東京は本当にベンチがない。ちょっと疲れたから休みたいなあというときに座れる場所がないのは、本当に不便である。文化の差なのか、ホームレス対策なのか?ともあれ、これから高齢化社会が進むのだから、もっと街の中にベンチがあってもいいと思う。
ホームレスと言えば、ニューヨークのホームレスの人々は夜になると教会の近くで眠るようだ。日本だとそういう場所がないもんなあ。うーん。

(2)フリーWi-Fiや充電できる場所がない
成田にはついにWi-Fiが入っていた!!やっと、という感じである。
そのほかのお店はいろんなプロバイダーのWi-Fiだけど、日本の携帯会社と契約していない人は使えないし、日本語がわからない観光客の人のことを考えるとただでさえ英語の看板が少ないので、とにかく気の毒である。
あと充電できる場所がないのも痛い。電気屋さんの店頭に充電する機械あるけど、あれに入れちゃったら使えないし。充電しながらフリーWi-Fiで旅の計画を立てられるような場所があってもいいと思うんだよなあ。
でもって、お店で充電を頼んでも、マニュアル化されているので融通がきかなくて断られるとかはちょっと悲しい。

(3)話が長いような?
仕事の関係で色々な人にあったんだけど、みんな予定している打合せの終わりの時間を考えずにしゃべるしゃべる。キャッチボールというよりは一方的な演説みたいな。どこが大事でどこがそうでもないのか、という判別がなかなか難しいし、いやどちらにしてもお客さんだからさえぎれないし…と言う感じ。よく言われる、始まる時間の遅刻にはうるさいのに、終わる時間にはルーズとはこういうことだったなーというのを思い出したのであった。

--------
他にも、日本の保守的な人(おもにおじさん)がうざいとか色々あるけど、とりあえずこの辺で。前にも書いたけど、こういう嫌なところを補って余りある良さがあるぞニッポン。

ちなみに日本最高!というのはBBCの調査でも明らかにされておりますぞ。

BBC poll: Germany most popular country in the world(BBC)
今年は世界4位。上位がドイツとカナダというのが非常に納得できる。(UKについてはわたしは相性が悪いので略)

日本の素晴らしさにしみじみしていたら、ちょっと前に読んだこの本を思い出した。
 
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)(海部未知)

いや、ほんと仕方ないです。引きこもりたくなりますってあの快適さ…ということで、しばらく日本の思い出に浸りながら、つらつらと書いていきたいと思います。
実は来月も日本に行くのですが。ははは。